2016年3月7日月曜日

TVM

今月1日で、このプログラムに参加してまるまる1年が経ちました。
もうこれで4年も日本の桜を見てないな...
コスタリカでの日々も、早いもので残りあと3ヶ月。
この生活が当たりまえの日常になっているからなかなか感じないけれど、1日1日が実はとても貴重な時間なんだろうなと思います。


きのうとおとといはThe Vagina Monologueというパフォーマンスを大学でやりました。



じつはコスタリカでは自分にとって全く新しいことを始めようと思って、去年は毎週インプロビゼーションという即興劇のクラスに行ってました。
今年に入ってからインストラクターの都合でなくなってしまったんだけれど、いろんなつながりがあって今回のパフォーマンスに出ることに。



The Vagina Monologueはアメリカ人のEve Enslerという劇作家が世界各国の200名を超える女性たちへのインタビューを基に、彼女たちが自らの女性器について語ったモノローグを舞台化したもの。1996年にブロードウェイで上演された時にはメリル・ストリープやグレン・クローズも出演した舞台です。

彼女のTED talkにて語られるThe Vagina Monologueの背景がとても興味深いです
【イヴ・エンスラー心と体に宿る幸せ】
http://www.ted.com/talks/eve_ensler_on_happiness_in_body_and_soul?language=ja


舞台に立つなんてとてもわたしのキャラじゃないし、英語でセリフ覚えるとかできるのかとか、そもそも内容も....といろいろな葛藤がありながら、練習を続けた3ヶ月。

日々の授業や課題の合間に練習して、毎週集まってリハーサルするのはとても簡単ではなかったけれど、すごく、すごく、いい経験になりました。
演じる、舞台に立つ、ということももちろんだけれど、文字通り多種多様な人種や文化のなかで一つのことを成し遂げるっていうプロセスがとても勉強になったし、楽しかった。


それから、この内容に関してのたくさんの議論。

この多様性に恵まれたオープンな環境のなかでももちろん、性の話題をタブー視する人は少なくない。こんなこと、舞台にするなんておかしいっていう人もいるし、vaginaという一単語を聞いただけで思いっきり顔をしかめる人もいたし、チケットを買ったもののやっぱり返す、という人もいた。
そんな人はだいたい男性だったけれど、女性でも少なからずいたり。

私も出演者でありながら、そんな人たちの気持ちもなんとなく察していた。
だって日本のコンテクストだったら、なかなか難しいもんね。
私にとってもこの手の話題は英語だったら話せるけれど日本語だったら話しにくい類の一つ。自分にとって第二言語の英語は第一言語の日本語ほど単語の意味に重みを感じないから、躊躇なく話せるんだろうな。

そんないろいろのやり取りがありつつも、無事に公演初日を迎えてなかなかの大成功に終わったわけでした。



だけど二日目の公演直前の舞台裏で、他の出演者と話をしていて初日の公演でなかなか劇場内に留まれない男性がいた、という話が出た。
どうして留まれなかったかというと、vaginaの話題は彼にとって気まずいものだったから。で、どうして気まずいのかといえば、彼の文化的にとても馴染むものではないから。
まあそうだよね、という諦めとも同情とも言えるような相槌がその場に流れたんだけど、でも、なんでもかんでも「文化」を言い訳にするなんておかしい、という意見が出た。

どの文化にだって男性と女性はいて、だから性の話題はどこにでもあるもので、vaginaだってその一つ。
それを「文化だから」を根拠に避けるのはおかしい。

確かにその通りで、この多様性のコミュニティの中では「文化」がある種の言い訳としてまかり通ってしまう。
+みんなの中で意見を言わない
+言い方がストレート
+時間を守らない
その他いろんなことが「文化」という一言で丸め込まれてしまって、その先の議論を妨げてしまう。それはその問題の根本的な事実を見ていない。

このThe Vagina Monologueは決してエロティックでハッピーな内容ばかりではなくて、むしろモノローグの多くはレイプや暴力やFGM、その他にも女性が社会から受けている多くの抑圧的でネガティブな内容が含まれている。
だから「文化」という名のもとにそういう事実から目を背けるのは、その中にある議論の中心を避けていることになる。


でもだからといって、一方的な視点を押し付ける(今回のことでいえば劇場内に無理やり留める)のもやっぱりおかしいと思う。
この手の話題が大きなタブーとして扱われている社会で育ってきたら、生理的な嫌悪感や拒否反応は避けられない。


うーん、難しい。
相互理解とか異文化理解とかなんて、そんなの夢のまた夢だと思う。
難しいけれど、それでも、このThe Vagina Monologueはタブーの世界をいい意味でぶち壊してくれました。
プロダクションチームと共演者のみんなに感謝!

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