2016年8月30日火曜日

授業と課題とフィールドワーク

今月に入ってから授業が2科目になり、先月までの授業の課題に加えて、新しい授業のプレゼンや卒業プロジェクトに向けてのフィールドワークなど、慌ただしい日々です。

そう、時折びっくりされるのだけれど、このAPSプログラムでは原則、卒業論文を書きません。でもその代わりに、グループでフィールドプロジェクトを行います。

私は他のクラスメートたちと一緒に、フィリピン都市部の貧困層を対象としたジェンダー教育をテーマに目下活動中。最終的にはワークショップなどを通じた啓発活動につなげたいんだけれど、今月初めはそのための意識調査を一週間にわたってやってきました。本来は2日間で終わらせる予定が、むちゃくちゃ暑かったり豪雨だったりの天候不順、それに加えてまあどこにでもある時間のルーズさが相まって、結局一週間かかったのでした..それはそれは大変だったけれど、でも普段決して会えない人々と交流ができて、実際の生活を肌で感じられたのはとても貴重な経験でした。




「都市部の貧困層」というのはつまりスラム街ということで、家の状況は人それぞれ。トタン屋根の四畳半くらいの広さに大人三人で住んでいるというところもあれば、台所やリビング、寝室もきちんとあってコンクリート造りの家もある。月200ドル以上の安定した収入がある世帯もあれば、収入はほぼなくいろんな人からの寄付で生活する世帯もある。子どものいない老夫婦もいれば、子どもと孫も入れて13人家族もいる。でも基本的にコミュニティ内には電気と水道が通っていて(電線と水道のホースでただでさえ細い道がさらに細くなる)10年ほど前よりはずいぶん良くなったのだとか。まだまだ衛生面ではとても改善が必要だけれど。

お菓子を作って生計を立てているお母さん

そんなコミュニティーの家々を回って、私たちのグループはプロジェクトにまつわるアンケートをしていったわけだけれども、その中で「あなたの周りにLGBTの人はいますか?」という質問がありました。まだきちんと集計していないけれど、私がインタビューした人の7〜8割はいる、と答えてしかもそのうちの半分くらいは家族や親戚にいる、とのこと。そのLGBTの家族は差別されたりするの?という質問にもノー。

もちろん、そういう人ばかりじゃなくて、敬虔なクリスチャンの人はLGBTは聖書で許されない、と断固反対だったりするんだけれど、それでも、私は日本との温度差を感じずにはいられなかった。LGBTの政治家もいるこの国と、未だに女性への差別すら根強い日本と、いったいどっちが発展している国なんだろう、と思ったりした。

このプログラムのPeacebuilderとして国連平和大学で平和教育を勉強して、もう今までの人生で一番 ”平和” っていう言葉を発しているから、自然とその意味を考えるわけだけれども、きっと、みんなが自分らしく生きることが許されている社会のことを平和と呼ぶのかもしれない。